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「チェスのルールでアフタースクール❤」
チェスの入門者のための、漫才風「チェスのルール解説」ラブコメディ!

人物紹介

百合園・九音 (ユリゾノ・クイン)

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  • 名前は「百合園九院 (ユリゾノ・クイン)」
  • 高校2年生。 帰宅部。
  • 超プライドが高くて友達ゼロ。
  • チェスが大好き。 かなり強い。
  • 夢は日本史上初のグランドマスター。
  • 勉強は平均よりちょい下。 運動神経、皆無。
  • ナイトとは小学校入学時からの家族ぐるみの付き合い。

柚木・菜偉人 (ユズキ・ナイト)

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  • 名前は「柚木菜偉人 (ユズキ・ナイト)」
  • 高校2年生。 サッカー部。
  • 超気さくで人気者。 女子からもモテモテ。
  • 成績は学年トップでサッカー部のキャプテン。
  • クインが大好きで、将来の夢はクインのお婿さん。
  • 元々病弱少年だったが、クインの強さに憧れて強くなっていった。
  • クインとは小学校入学時からの家族ぐるみの付き合い。

第14話 最後は握手でアフタースクール❤

ナレーション
今回は最終回だよ・・・・・・はてさて、どうなることやら。

クイン
「だって・・・・・・!!
だってあんたはもう死んでるんだから!!

ナイト
「・・・・・・・・・・・・。」

ナイト
「・・・・・・やっぱり。
実はなんとなくそんな気はしてた。」

ナイト
「でも、僕、いつ死んだんだろ・・・・・・?」

クイン
「おとといの日曜日、サッカーの県大会の決勝戦で倒れたんだよ。
急いで病院に運んだけど間に合わなかった。
いわゆる「致死性不整脈」だって。」

ナイト
「じゃあ、僕はお化けなの?」

クイン
「分からない。
幽霊かもしれないし、私の妄想かもしれない。
何だか分からないけど、きっと私が会いたかったから出てきたんだと思う。」

ナイト
「僕と思い出話をするため?」

クイン
「ううん・・・思い出話じゃなくても良かった。 何でも良かった。」

クイン
「私は中学生になってからほとんどあんたと喋らなくなって、日曜日のサッカーの大会すら見に行かなかった。
本当はもっとたくさん話したかったのに、突然もう話せなくなって・・・永遠に話せないって分かって・・・死ぬほど後悔して・・・・・・。」

クイン
「「あと一回だけ話せたら一生分喋るのに!」って思いながら、放課後ずっとチェスの駒をいじってた。
そしたらあんたがここに来た。」

ナイト
「そういえば今日のクーちゃん、すごくお喋りだったもんね。
僕、すごく楽しかったよ!」

クイン
「私はまだダメ。
たぶんいくら喋ってもきっと満足できない。」

ナイト
「どうするの?
きっと僕、もうすぐ消えちゃうよ?」

クイン
「私とチェスをしよう!
あんたと一回チェスをすれば、私は 100年分のお喋りができると思う!」

ナイト
「オッケー!
クーちゃんからルールを教えてもらったし、きっとなんとかなるよ!」

クイン
「はっ! ルールを覚えた程度の初心者が、天才美少女チェスマスターのクイン様に「なんとかなる」わけないじゃない!」

ナイト
「いや、でもなんとかしないと・・・・・・。」

クイン
「大丈夫! 私が戦い方のヒントを言ってあげるから、あんたはそれを聞いて考えればいいよ!」

ナイト
「分かった!」

クイン
「あんたは白、つまり先手ね。」

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ナイト
「オッケー! じゃあ、どの駒を動かそうかなぁ・・・・・・。」

クイン
「こらぁああああああああ!」

ナイト
「ひぃいいいいっ!」

クイン
「勝手にゲームを始めるなっ!
チェスはゲームを開始する前に「握手」をして挨拶しなきゃいけないんだよ!」

ナイト
「なんだ、そんなことか・・・・・・。
でもクーちゃんと僕の仲だし、そんなことしなくてもいいじゃん。
握手しなかったくらいで勝敗に影響するわけじゃないんだし・・・・・・。」

クイン
「「勝敗に影響」するんだよ。
国際チェス連盟「FIDE」のルールで、「FIDE の公式試合で、試合前に握手をしなかった選手は負け」ってのがあるの。」

ナイト
「ええっ! 挨拶の握手って「マナー」じゃなく「ルール」なの!?」

クイン
「そう。 だから、先ずは握手。」

ナイト
「はーい!」

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ナイト
「じゃあ、さっそく僕からだね。
何から動かそうかなぁ・・・・・・。」

ナイト
「ううっ・・・何を動かしていいのか分かんないよぉ・・・・・・(泣)」

クイン
「じゃあとりあえず私の言うとおりに動かしてみて。
先ずは e2 のポーンを 2つ前に前進させる。」

ナイト
「こう?」

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クイン
「うん。
で、私はこうする。」

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クイン
「次は g1 のナイトを f3 の位置に置いて。」

ナイト
「こう?」

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クイン
「そうそう。
で、私はこれね。」

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クイン
「で、この形はチェスで一番よく出てくる駒の配置なんだよ。」

ナイト
「なんで?」

クイン
「チェスでは「駒の動きやすさ」がとても大切なんだ。
で、ボードの中央付近にナイトやビショップを置くと、駒がとても動きやすくなって有利に戦いを進められるの。
だから、相手に中央付近にナイトやビショップを置かせないようにポーンで予め守っておくんだよ。」

ナイト
「じゃあこのナイトは?」

クイン
「これも中央を守る手なんだけど、同時に「マイナーピースの展開」ってやつもしているんだ。」

ナイト
「「展開」?」

クイン
「うん。
「展開」ってのは駒を戦場に出して戦う準備をすることだよ。
序盤でたくさん活躍するのは「ナイト」や「ビショップ」で、それらをできるだけ早く展開するのが大切なんだ。」

ナイト
「よし! じゃあもっと展開しちゃおう! えいっ!」

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クイン
「じゃあ私も。」

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ナイト
「じゃあ、ビショップも! えいっ!」

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クイン
「あー、それはちょっと失敗だね。」

ナイト
「えっ? どうして?」

クイン
「d2 にあるポーンが前へ出られなくなっちゃう。
中央の 2列にあるポーンはとても大事なポーンで、前に出られないと戦闘に参加できなくなって味方の戦力が落ちてしまうんだよ。
しかも c1 のビショップや d1 のクイーンの動きが妨げられちゃう。」

ナイト
「うぅ・・・じゃあどうすれば・・・・・・。」

クイン
「そういう時はこんなふうに・・・・・・」

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クイン
「中央のポーンの前進を妨げないように展開するんだよ。」

ナイト
「うん! 分かった!」

ナイト
「で、次はどうしよう・・・・・・。」

クイン
「「キャスリングをしてみたらどう?」

ナイト
「「キャスリング」・・・・・・」

ナイト
「あっ! ホントだ! 右側にキャスリングできる!」

ナイト
「でも、今していいの?」

クイン
「いいも何も、今こそキャスリングのチャンスだよ。
「マイナーピースの展開」ってのはキングを素早く「キャスリング」するためのものでもあるんだよ。
序盤で大切なのは・・・

  • ポーンで中央を守る。
  • マイナーピースを戦場に出す。
  • キャスリングしてキングを安全にする。

・・・の 3つ。
で、順番的には・・・

  1. ポーンで中央を守りつつ、マイナーピースを戦場に出しやすくする。
  2. マイナーピースを戦場に出しつつ、キャスリングをしやすくする。
  3. キャスリングをする。

・・・って感じだね。」

ナイト
「おおっ! 全部繋がっているんだ!」

クイン
「うん。 これが一番効率よく戦闘準備する手順だよ。」

ナイト
「よし! キャスリングだ!」

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クイン
「じゃあ私も。」

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ナイト
「で、クーちゃん、次は何をしたらいいの?」

クイン
「こらっ! 少しは自分で考えようとしろ!
チェスは自分で考えるゲームなんだぞ!」

ナイト
「ううっ・・・そんなこと言われても・・・・・・。」

クイン
「やれやれ、これだから素人は・・・・・・。」

クイン
「チェスで考えるべきことは 2つ。

  • 今相手に何をされたら困るのか。
  • 今自分が何をしたら相手が困るのか。

・・・だよ。」

ナイト
「「困る」って言われても困る・・・・・・。」

クイン
「一番「困る」のは「戦力の損失」だね。
駒にはその重要性の数値が割り振られているんだ。
こんな風に。」

駒の種類 重要性
ポーン 1
ナイト 3
ビショップ 3
ルーク 5
クイーン 9
キング 53万

ナイト
「分かった! キングは一度変身すると 100万以上は確実なんだね!」
(注 : そんなルールはありません。)

クイン
「そう。 しかも、一度変身しても、あと 2回変身を残しているんだよ。」
(注 : そんなルールはありません。)

ナイト
「キングはとても重要なのは分かるけど、他の駒の数値は何?」

クイン
「一番弱いポーンを「1」とした時の「戦力」だね。
この数値で損をしないように駒を取り合うのが大事なんだ。
例えば相手のポーンを取って自分のビショップが取られちゃうと「1 - 3 = -2」でマイナスになって損しちゃう。
そうならないように駒を取り合うんだよ。」

ナイト
「なるほど。」

クイン
「次に「困る」のは駒の配置の問題だね。
要は・・・

  • 「自分が動きやすく、相手が動きにくい」と「有利」
  • 「自分が動きにくく、相手が動きやすい」と「不利」

・・・みたいな感じ。
その時の目安は・・・

  • 「ナイト」は中央に近いほど動きやすい。
  • 「ビショップ」「ルーク」「クイーン」は動けるラインが敵や味方のポーンに妨げられていないと動きやすい。
  • 相手のポーンが中央にいると動きにくい。

・・・って感じかな。」

ナイト
「ふむふむ。」

クイン
「さらに困るのは「自分のキングへの攻撃」だね。
相手の駒が自分のキングの周囲を狙っていたら要注意だよ。
「チェックメイト」も怖いけど、「チェック」を絡めた技も怖い。
だから相手のキングを狙いつつ、自分のキングを狙わせないように考えることも大事。」

ナイト
「ややこしくなってきた・・・・・・。」

クイン
「まとめると 3つだね。

  1. 戦力の損失。
  2. 自分と相手の駒の動きやすさ。
  3. キングへの攻撃。

この 3つを基準に次の手を考えるといいよ。」

ナイト
「分かった! じゃあ次の僕の手は・・・こうだっ!」

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ナイト
「これでポーンも前進できるし、クーちゃんのキングも狙ってる!
しかもビショップが動きやすいところに移動できた!」

クイン
「実は手損しちゃっているんだけどね。
白も黒も同じ形なのに次は黒の手番・・・つまり黒が先手になっちゃってるんだよ。」

ナイト
「あっ! ホントだ!」

クイン
「じゃあ私は、こうかな。」

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ナイト
「ん? ポーンを守ったの?」

クイン
「それもあるけど、一番の理由は c8 にいるビショップを動けるようにことだよ。
できるだけたくさん戦場に駒が出られた方が強くなるからね。」

ナイト
「じゃあ僕も!」

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クイン
「・・・・・・・・・・・・」

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ナイト
「えーと、こうだっ!」

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クイン
「・・・・・・・・・・・・」

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ナイト
「じゃあ、僕の次の一手は・・・こう!」

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クイン
「(イラッ!)」

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ナイト
「ドンドンいくよっ!」

クイン
「(イライラ・・・・・・)」

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クイン
「って、ふざけるなぁああああああああ!
私の真似をしてるだけじゃねぇかぁああああああああ!」

ナイト
「ははは、バレちゃった。」

クイン
「ううっ・・・チェスはマネマネ戦法が意外と強いから結構困るんだよぉ・・・・・・。」

ナイト
「そ、そうなの? なんかゴメンね。」

クイン
「グスッ・・・じゃあ、次は私。」

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ナイト
「(ん? ナイトを下げた? ・・・・・・だったら!) えいっ!」

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クイン
「へぇ、なかなかいい手じゃん。」

ナイト
「クーちゃんがさっき「ナイトは中央に近いほど動きやすい」って言ってたから真ん中に置いたんだ。
クーちゃんはナイトを下げたから僕の方が有利だね。」

クイン
「はっ! 私の意図に気付かないようじゃまだまだお子様だね!」

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ナイト
「ええっ! クーちゃんのポーンが突っ込んできた!」

クイン
「固まった中央のポーンは「中央の隣のポーン」で破壊するのが常套手段。
こうやってポーンを崩して自分の駒をもっと動きやすくするんだよ。」

クイン
「ただしこれはゲームを大きく動かす「賭け」でもあるんだ。
上手く行けば自分が有利になるけど、相手が空いたスペースを利用して一気に攻め込んでくる可能性もある。
だから時間をかけて先の展開を読んで仕掛けなきゃいけないんだよ。」

ナイト
「うー、ポーンが取られちゃうー・・・・・・あっ! そうだ! こうすれば!」

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ナイト
「よし! これでポーンをナイトで取り返した時に僕のナイトがもう一つ中央に居座れる!」

クイン
「あーあ、やっちゃった・・・・・・。」

ナイト
「どしたの? 僕が意外と強くてビックリした?」

クイン
「残念だけどこれは大悪手だよ。 チェス用語で「ブランダー」って言うんだ。」

ナイト
「ん? どこがマズいの?」

クイン
「じゃあ、私がこうしたらどうする?」

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ナイト
「うわっ! 直進してきた! ビショップが攻撃された!」

ナイト
「・・・ってもう、脅かさないでよ。 こんなの逃げればすむ話じゃん。」

クイン
「どこに?」

ナイト
「ははは、どこにってそりゃあ・・・・・・。」

ナイト
「・・・・・・・・・・・・。」

ナイト
「ゲゲッ! どこに動かしても取られちゃう!」

クイン
「そういうこと。
「ナイトがもう一つ中央に居座れる」って発想はすごく良かったよ。
特に「取り返した時に有利な状態にする」っていうのも初心者とは思えない素晴らしい考え方だったよ。」

クイン
「でもビショップの逃げ道を塞いじゃったのは失敗だったね。
これは経験を積まないと分からないけど、特にビショップはポーンに捕まりやすいから、常に逃げ道を確保しておかないといけないんだよ。」

ナイト
「グスン・・・・・・じゃあ、こうする。」

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クイン
「じゃあ取っちゃうね。」

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ナイト
「クーちゃんのポーンがこれ以上来れないようにブロックしておこう・・・・・・。」

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クイン
「気持ちは分かるけど、それだと d2 のナイトが動けなくなっちゃうよ。」

ナイト
「ウゲッ! ホントだ!」

クイン
「それに私のナイト、クイーン、ビショップはあんたのキングを攻撃できるけど、あんたの駒はキングを助けに行けなくなる。」

ナイト
「じゃあどうすれば良かったの・・・・・・。」

クイン
「こんな風にナイトを f3 に戻しておくとまだ戦えたね。」

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ナイト
「なるほど。」

クイン
「ってことで私は遠慮なくあんたのキングめがけて突進していくよ!」

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ナイト
「フフッ、クーちゃん、詰めが甘いよ。
僕の d3 のポーンを狙っているみたいだけど、僕が見逃すと思ったの?」

クイン
「思ってはなかったけど・・・・・・。」

ナイト
「こうやって守っちゃうもんね!」

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クイン
「それをしちゃうと私が得しちゃうよ。」

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ナイト
「うわっ! クイーンが攻撃された!」

ナイト
「・・・ってもう、脅かさないでよ。 今度こそ逃げれるじゃん。
「得しちゃうよ」っていうからまた「ブランダー」かと思ったよ。」

クイン
「私が「得」って言ったのは、私はナイトを中央に置きつつ、「また私の手番になる」って意味だよ。」

ナイト
「ん? どういうこと?」

クイン
「私はナイトを中央に置いて強い配置になったよね?」

ナイト
「うん。」

クイン
「で、次にあんたは「渋々」クイーンを移動させられるハメになるよね?」

ナイト
「うん。」

クイン
「で、次は私の手番。」

ナイト
「うん・・・・・・・・・・・・」

ナイト
「あっ! クーちゃんが 2回も連続で自分の好きな手が指せる!」

クイン
「そういうこと。
チェスではこういうのを「イニシアティブ (主導権) を取る」って言うんだよ。
相手にやりたいことをさせず、自分ばっかりやりたいことをする。
そうやって相手をドンドン追い詰めていくんだよ。」

ナイト
「ううっ・・・とりあえずクイーンを逃がす。」

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クイン
「じゃあ私はクイーンであんたのキングを攻める!」

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ナイト
「ひいっ! 逃げる!」

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クイン
「じゃあ、こうだっ!」

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ナイト
「クックックッ・・・クーちゃんもついにやっちゃったね、「ブランダー」。」

クイン
「やれやれ、これだから素人は・・・・・・。
そう思うなら遠慮なく取ってどうぞ。」

ナイト
「じゃあ遠慮なく・・・パクっとな!」

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クイン
「じゃあ、私はあんたのキングを閉じ込める。」

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ナイト
「うわぁ! クーちゃんのクイーンが僕のキングの目の前に来た!
どうしよ! どうしよ! どうしよ!
ルークで追い返しちゃえ!」

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クイン
「あーあ、ゲーム終わっちゃった・・・・・・。」

ナイト
「へっ?」

クイン
「これで「チェックメイト」だね。」

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ナイト
「あぁ、逃げれないし防げない・・・負けちゃった。」

クイン
「最後はルークを f2 に動かして捨てれば粘れたよ。」

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ナイト
「負けたのは悔しいけど、色々戦略を考えるのは楽しいね。」

クイン
「でしょ!」

ナイト
「それに、何よりクーちゃんがいつも見ている世界がどんな世界なのか分かったのが一番嬉しかった。」

クイン
「私が見ている世界?」

ナイト
「うん。
僕はクーちゃんがよく放課後にチェスの駒をいじっているのを見ていたんだ。」

ナイト
「クーちゃんはチェスの駒をボードの上であちこちに動かしながら、ガッカリしたり、喜んだり、ビックリしたりしてた。」

クイン
「うっ、見られてた・・・・・・ (///)」

ナイト
「でも僕はクーちゃんが何でガッカリしたのか、喜んだのか、ビックリしたのか分からなかった。
ボードの上には、クーちゃんには見えて僕には見えない世界があるんだろうなって思ってた。
僕はその世界が見えないことにずっとモヤモヤしていた。」

ナイト
「でも、ルールを教えてもらって、実際にゲームをして、僕はクーちゃんが何を見ていたのかやっと分かったんだ。」

クイン
「ナイト・・・・・・。」

ナイト
「僕は今日初めてクーちゃんの全部が分かったよ!
ちょっと手遅れだったけどね。」

クイン
「私もいろんな思い出話をして、その時ナイトがどんな風に思ってたのかよく分かった。
私のこといろいろ考えていてくれたんだって初めて知った。
ちょっと手遅れだったけどね。」

ナイト
「僕、そろそろ行かないといけないみたいだ。」

クイン
「まだダメ。 あんたに大事なこと言うの忘れてたから。」

ナイト
「大事なこと?」

クイン
「チェスはゲームが終わったら握手で挨拶しなきゃいけないんだよ。」

ナイト
「それも「ルール」?」

クイン
「うん。」

ナイト
「分かった。」

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ナイト
「バイバイ、クーちゃん。」

クイン
「バイバイ、ナイト。」

ナレーション
とある学校のチェス好き女子の、不思議な放課後の物語。

ending

(おわり)

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