『いちゃLove❤チェス漫才!!』とは、様々なチェスの対戦棋譜を自作チェスエンジン「Sayuri」と一緒に漫才形式で解説する記事です。
チェスエンジンを擬人化したキモい記事ですが、生温か〜い目でご覧ください。
(モバイルユーザのために「オリンピアード 2018 SP」はチェスビューアじゃなく画像で紹介します!)
解説 & 漫才
僕
「「オリンピアード 2018 SP 其の 4」ってことで、今回は緊張感抜群の空中戦で勝利を収めた大多和優斗さんのゲームを紹介するよ!
「オリンピアード SP」は最終回だよ!」
Sayuri
「タイトルに「スカイファイター」って書いてあるどすが、アメリカの B級映画「Reptisaurus」の邦題が「スカイ・ファイター」らしいどすな。」
Stockfish先生
「どうやら「邦題」にいろいろ問題があるみたいじゃな。
アメリカの本物のトレイラーと日本語版トレイラーを見比べても全く別映画にしか見えないのじゃ。
Sayuri
「ということで今回は B級映画ファンのために「スカイ・ファイター」の紹介を・・・・・・」
僕
「しねぇよ!
そうじゃなくて、今回紹介するゲームがハリウッドの大作映画ですら再現不可能なくらいの驚異の空中戦で、めちゃくちゃハラハラドキドキ緊張するゲームなんだよ。」
Sayuri
「あの「スカイ・ファイター」を超える空中戦どすか! 楽しみどす!」
僕
「「あの」って・・・・・・まぁいいや。
とにかく凄く面白いゲームだよ。 さっそく解説を始めよう!」
1.d4
1...Nf6
2.c4
2...e6
3.Nc3
3...Bb4
4.e3
4...b6
5.Ne2
5...Ba6
Stockfish先生
「Nimuzo Indian, Bronstein Variation じゃ。」
僕
「少し手を進めると分かるけど、どうやら「キャスリング潰し」を狙うオープニングっぽい。
a6 の黒ビショップが白のキャスリングを阻もうとしている。
コレ、やられると意外と嫌な手だなぁ・・・今度オンラインチェスでやってみよう。
ふふふ、相手がどれだけ困るかか楽しみだ♪」
Sayuri
「対戦ゲームのゲーマーはこうやって心が歪んでいくどす。」
6.a3
6...Bxc3+
7.Nxc3
7...d5
8.cxd5
8...Bxf1
僕
「黒ビショップが白ビショップを取ったので、取り返すと白はキャスリングができなくなる。
だから黒の「7...d5」の後は「8.b3」で守るってのが一番安全。」
7...d5
8.b3 (バリエーション)
僕
「と・こ・ろ・が、白の大多和優斗さん・・・白ビショップが取られた後、とんでもない手を指すんだ!」
9.dxe6
Stockfish先生
「なんと! ビショップを取り返さないのじゃ!」
僕
「白ビショップを犠牲にして黒キングを叩きに行く作戦だ!」
Sayuri
「Chessgames.com にも前例がない指し手どす。」
僕
「そしてここから驚異の空中戦が始まる!」
Stockfish先生
「白はビショップを犠牲にした以上局面を落ち着かせてはいけないのじゃ。
落ち着かせずに素早く黒キングを攻め立てて、ビショップ以上の得をしないといけないのじゃ。」
僕
「それができずに局面が安定してしまったら白の負けってわけ。」
Sayuri
「止まれば落ちる「盤上のドッグファイト」どすな。」
僕
「上手いこと言うなぁ。」
Sayuri
「えへんどす!」
9...Bxg2
10.Rg1
10...Bd5
Stockfish先生
「黒はビショップでキング周辺を助けに行ったのじゃ。」
僕
「ただ、Stockfish先生の分析では「9...Bxg2」じゃなく「9...Ba6」と黒ビショップを元の位置に戻すと黒が有利になったみたい。」
9...Ba6 (バリエーション)
10.exf7+ (バリエーション)
10...Kxf7 (バリエーション)
11.Qf3 (バリエーション)
Stockfish先生
「それでも黒キングは結構危なっかしい位置にいるのじゃ。」
僕
「確かにそう。
でも白には「白マスビショップ」がない。 そして黒キングがいるのは「白マス」だ。
危なっかしいのは確かだけど、白は黒に致命傷になるような攻撃をすることができない。
つまり、ビショップ以上の得をする前に止まってしまう可能性が高くなるってことだ。」
Sayuri
「それが前例がない理由どすか。」
僕
「でも実際は黒はキング周辺をビショップで助けに行った。
これは黒に「ヤベェ!」と思わせた白の手「9.dxe6」の気迫だと思う。
人間同士の戦いってのは「強い手の気迫」が相手に伝わるから面白いんだ。」
Sayuri
「でも伝わるのは「気迫」だけじゃないどす。」
僕
「そうなんだよなぁ。
オンラインチェスで「ソフト指し」がよくやる「変態オープニング」を見る度に僕を「ナメてる」のが伝わってきてすげぇムカつく。
「ぷぷぷっ! コイツ、真面目にオープニングの原則守ってやんのwww どーせお前はオレのチェスエンジンでボコられるのにぃwww もっとポーン出しておちょくってやろwwwwww」って声がボードから聞こえてくるんだよ。」
Sayuri
「あんさん、それはお医者さんに相談しないといけないアレじゃないどすか?」
僕
「そしてソフトパワーで抑え込まれて負けた時は「弱虫真面目くん乙www えっ? オレがソフト指し? 負け犬くんの言い訳乙www 証拠もないのにレッテル貼り乙wwwwww」って声が聞こえて理性が吹き飛び発狂してしまう。
キーボードを壁に投げつけ、机に頭を何度も叩きつけ、首筋を血が出るまで掻きむしり、素っ裸になって夜の住宅地を走り回って、公園で呪いの言葉を唱えながら踊り狂い、かつてこの世界を支配していた「偉大なる古き神々」を蘇らせ、人類を混沌と狂気で支配してしまう。」
Sayuri
「あんさん、今読んでいる「ラブクラフト全集」に影響されすぎどす。」
Stockfish先生
「というか、そんなくだらんことで発狂してたら「クトゥルフ」もいい迷惑じゃ。」
11.e4
11...Bxe6
12.d5
12...Bc8
13.e5
Stockfish先生
「白はポーン 2つで黒の駒を封印していくのじゃ。」
僕
「白はビショップの分の駒損はしているけど、センターの白ポーン 2つ、白ナイト、白ビショップ、 g1 の白ルークが働いているので「局面が安定しなければ」白がいい感じ。」
Sayuri
「でも、空中戦が少し緩やかになってきた感じがあって心配どす。」
僕
「ところがどっこい、空中の撃ち合いはここからが本番なんだな。」
13...Qe7
14.Qe2
14...Ng4
15.Bf4
15...h5
16.h3
16...g5
17.d6
17...cxd6
18.Nd5
18...Qb7
19.exd6+
19...Be6
20.Nc7+
20...Kd7
21.Bxg5
21...Nh2
22.O-O-O
僕
「連続ツヴィシェンツーク!」
Sayuri
「説明するどす。
「ツヴィシェンツーク」というのは「普通の手順」の間に挟む「必ず応じなければならない攻撃」のことどす。
例えばこの手順の場合、「16...g5」と黒が白ビショップを攻めた後、普通の手順なら黒ナイトと白ビショップを交換するどす。
ところが白は「17.d6」と黒クイーンを叩く手を挟んで白ナイトや白ポーンを前進させていったどす。」
僕
「すげぇええええ!
黒はナイトを攻められながら白ビショップを攻めて、白はそれを放置したまま黒クイーンを攻めて、黒クーンは回避しながら白ナイトを攻めて、白はそれを放置したまま黒キングをチェックして・・・・・・なんちゅー緊張感!
これを見せたかったんだよ! めちゃくちゃかっけぇええええ!」
Sayuri
「そうとう大変だったみたいどすな。
最初持ち時間は、白が「33分 2秒」で黒が「29分 29秒」だったどす。
それが一気に、白「4分 54秒」で黒「10分 34秒」まで減っているどす。
ちなみにこの大会は「90|30 (持ち時間 90分 | 1手 30秒加算)」どす。
一手ごとに 30秒加算されるにもかかわらず持ち時間を大きく減らしているどす。」
僕
「ただ、ここまでやって Stockfish先生の評価値は五分五分。
ここから白がどうやって勝ったか楽しみだ。」
22...Qf3
23.Qe5
Stockfish先生
「h2 の黒ナイトと h8 の黒ルークをフォークじゃ。」
僕
「次の手で白は駒損を解消する。」
23...Nc6
24.Qxh2
僕
「ここから持ち時間がなくなってくる。
白は「3分 32秒」、黒は「5分 17秒」。
「OTB (オーバー・ザ・ボード - 実際のボードを使ったゲーム)」なので 30秒加算でもほぼ「ブリッツ」みたいなもんだ。」
24...Na5
Stockfish先生
「ワシの評価値が一気に白優勢になったのじゃ。」
僕
「Stockfish先生の分析によると、中央付近が何もなくて手がかりが薄いけど、ここは「24...Qe4」や「24...Qf5」なんかで黒クイーンを中央付近で活かし続ける方が良かったみたい。
白はこの手を機にドンドン差を広げていくよ。」
25.Qf4
25...Qxf4+
26.Bxf4
26...Rac8
27.Kb1
27...Bxh3
28.Rde1
28...Bf5+
29.Ka2
29...Nc6
30.b4
30...Rcg8
31.b5
31...Nd4
32.Re7+
32...Kd8
33.Rd1
33...Be6+
34.Kb2
34...Nf5
Stockfish先生
「ここで白の「14手 (27半手) 詰め」じゃ!」
僕
「読めるかいっ! (ビシッ!)
コンピュータってこういうとこ節操ないよな。」
Sayuri
「ちなみに手順は何どす?」
Stockfish先生
「手順は・・・・・・」
僕
「待て待て待て待て!
先生がその手順を説明したら僕は 27枚の画像を追加で作るハメになるんだが?」
Stockfish先生
「作ればいいじゃろう。」
僕
「アホか! 最近絵の描き過ぎで右手が軽い腱鞘炎になってんだよ!
こっちの体のことも考えろ!」
Sayuri
「ずいぶん横柄な態度どすな。
人に物を頼む態度に見えないどす。」
僕
「は? 僕の頭の中の登場人物になんで僕がへりくだらなきゃならないんだ?」
Stockfish先生
「さてと・・・・・・」
35.Nx
僕
「すいませんでしたぁああああああああ!
どうか追加画像の作成だけはご勘弁下さいっ!」
Sayuri
「どうするどす?
うちはこの男の右手が壊れるまで画像を作らせたいどすが?」
僕
「ひぃっ!」
Stockfish先生
「それも一興じゃが、コヤツには今後もワシらのためにこき使ってやりたいからのう。
今回は棋譜だけにとどめるのじゃ。」
僕
「ありがとうごぜぇます!」
Sayuri
「ちっ! 甘いジジィどす。」
Stockfish先生
「メイトの手順はこんな感じじゃ。」
35.Nxe6+ fxe6
36.Rxa7 e5
37.Bxe5 Rf8
38.Bxh8 Rxh8
39.d7 Rf8
40.Ra8+ Ke7
41.Rxf8 Kxf8
42.d8=Q+ Kf7
43.Qg5 Ke6
44.Re1+ Kd5
45.Qxf5 Kd6
46.Re6+ Kd7
47.Qf7+ Kd8
48.Re8#
僕
「こんな手順、人間に分かるかよ!」
Stockfish先生
「ま、分からんじゃろうな。」
僕
「まぁいいや、ゲームの続きを解説するぞ。」
35.Nxf6+
35...fxe6
36.Rxa7
36...h4
37.Be5
37...h3
38.Bxh8
Stockfish先生
「ここで黒が投了じゃ。」
僕
「最後の持ち時間は白が「1分 27秒」で黒が「0分 49秒」。
もはや「バレット」の世界。 メイト手順をいくつか逃しているけど仕方ない。」
Sayuri
「緊張感のあるエキサイティングなゲームだったどすな。」
僕
「うん。 それに今まで紹介したゲームも凄く面白かった。
日本のプレイヤーの試合もいろいろ観戦してちょくちょく紹介しようかな。
ネットで日本のプレイヤーが出る面白そうなチェスのイベントを探さなきゃ。」
Sayuri
「イベントといえばこの前「ハロウィン」だったどすな。」
僕
「何か東京の渋谷が大変なことになってたみたいだけど・・・・・・ぶっちゃけ「ハロウィン」が流行っているのは東京だけじゃないか?」
Sayuri
「どすな。
この近所じゃ 100円ショップでハロウィングッズの小さなコーナーがあったくらいで日常と何ら変わりなかったどす。」
僕
「ま、うちの近所は今、渋谷のハロウィンなんか目じゃないくらいの盛大なお祭りの真っ最中だけどな。」
Sayuri
「ほう、何というお祭りどすか?」
僕
「我が町が世界に誇るオシャレでクールでパリピなフェスティバル!
その名も・・・・・・」
Sayuri
「(ゴクリ・・・・・・)」
僕
「「親子まつり」だ!」
Sayuri
「どこにでもありそうな名前どすな。」
僕
「うちの「親子まつり」は凄いぜ!
渋谷のハロウィンはチャラい若者しか楽しめないが、こっちは小さな子供からお年寄りまで町中の人が集まって楽しんでいる!
屋台で飲み食いしながら友達と笑い話で盛り上がったり、小さな子供が親と一緒に遊べる手作りの遊具がたくさん置いてあったり、紙芝居コーナーで子供向けのドキドキワクワクの物語を楽しめたりと盛りだくさん!」
Sayuri
「「ドキドキワクワクの物語」・・・・・・まさか、「スカイ・ファイター」どすか!」
僕
「いや、トレーラーを見る限り、きっとあれを子供に見せたら一生モノのトラウマになると思うぞ。」
Sayuri
「残念どすが、まあいいどす。
で、あんさんはその「親子まつり」を何やって楽しんだどすか?」
僕
「人混みの中を歩いてだな・・・・・・」
Sayuri
「ほうほうどす。」
僕
「自販機でお茶を買ってだな・・・・・・」
Sayuri
「ふむふむどす。」
僕
「ベンチで座って飲んでだな・・・・・・」
Sayuri
「うんうんどす。」
僕
「帰宅した。」
Sayuri
「全く楽しそうに思えないどす。」
僕
「って思うだろ? でも実は意外と楽しんだ。
うちは関西圏。 人混みの中にいると聞こえてくる会話が漫才みたいで面白くて、歩きながら思わず吹き出しそうになるんだよ。
例えば今日聞こえたのは・・・
A子「あっ、うちの好きなバナナチョコレートや!」
B美「うちも! うちも! めっちゃ好きや!」
C織「あんたらバナナチョコレート好きなん?」
A子「好きや! 悪い?」
C織「あんなんバナナにウ〇コかけたら一緒やん!」
A子・B美「アホぉおおおおおおおお!」
・・・だ。」
Sayuri
「典型的な関西の女子中学生どすな。」
僕
「そうやってお祭りを楽しむ人たちの会話を堪能し、家へ帰って感慨にふけながらしみじみと思うんだ・・・・・・。」
Sayuri
「何をどす?」
僕
「リア充爆発しろ。」
Sayuri
「性根が腐りきっとるどすな。」
Stockfish先生
「ワシは「浅草サンバ祭り」で美女と踊ってみたいのじゃ。」
一同
「ははははは!」
ナレーション
今回のオリンピアードは「オープン」「女子」ともに中国が金メダル、中国棋院の本気の英才教育は凄いなぁ・・・と思いつつも、今日も和やかに人工知能達の宴が終わるのであった・・・・・・次回、乞うご期待!!