「チェスわくわく戦略入門」は、ルールを覚えたての初心者に「戦略(ストラテジー)」を簡単に紹介する入門教室です。
第3回は
「メジャーピース・キングの使い方」
です。
メジャーピース
「メジャーピース」とは「ルーク」「クイーン」のことです。
「メジャーピース」の得意技は「チェックメイト」です。
「ルーク」「クイーン」が一つでも残っていれば、「キング」と協力することで相手のキングをチェックメイトすることが可能です。
方法については各駒の項目で説明します。
「メジャーピース」の動きは他の駒とぶつかりやすいのが特徴です。
これは、序盤では「ポーン」にぶつかりやすく働きが悪いという特徴であるのと同時に、相手の駒を殲滅するのが得意という特徴でもあります。
ルーク
「ルーク」は「オープンファイル」と呼ばれる縦列で活躍する駒です。
「オープンファイル」とは敵や味方のポーンのいない縦列のことで、中盤ではその縦列にルークを配置することでルークを最大限に活躍させることができます。
ちなみに、「味方のポーンはいないが、敵のポーンはいる縦列」のことを「セミオープンファイル」といいます。 オープンファイルほどではないですが、ここにルークを置くことも有効です。
ルークをオープンファイルに 2つ置く「ダブルルーク」という置き方もあります。
これを使うことで、ルークを敵陣に侵入させたり、相手のルークをオープンファイルから外したりすることができます。
ルークを「第7ランク」に配置すると相手のポーンの集団を脅かすことができます。
特に、「第7ランクにルークを 2つ置く」ことを「第7ランクの豚」と言うこともあります。 (「豚のように相手のポーンを食い尽くす」という意味です。)
バックランクメイト
「バックランクメイト」とは「ルーク」の得意技で、中盤で「キャスリング後の敵キング」に対して決まりやすいチェックメイトのパターンです。
「キャスリング後のキング」はたいてい前方がポーンで塞がっていて「横にしか動けない」という状況になっています。
その「横方向」をルークの攻撃で埋めてしまうのが「バックランクメイト」です。
相手に対して「バックランクメイト」を狙うのも大事ですが、自分が「バックランクメイト」を喰らわないようにすることももっと大切です。
ルークエンディング
「ルークエンディング」とは・・・
- 相手の駒が「キング」のみ。
- 自分の駒が「キング」と「ルーク1つ」以上が残っている。
という状況のことです。
自分のルークを残して、相手のキング以外の駒を全て取り尽くすことでこの状況を作ることができます。 (将棋と違ってチェスには持ち駒システムがないので、マテリアルで勝っていれば比較的簡単にこの状況を作ることができます。)
「ルークエンディング」になれば、何も考えずに「作業的」に駒を動かすことで相手をチェックメイトすることができます。
「ルークエンディング」の最終目標は、相手のキングをチェス盤の端に追い詰め、自分のキングを使い、バックランクメイトの要領でメイトすることです。
どうやって相手のキングを端に追い詰めるかというと、以下のような法則を利用します。
- 相手のキングはルークの攻撃ラインを越えられない。
- 自分のキングを相手のキングの正面に置き、ルークで真横からキングを攻撃すると、相手のキングは下がらざるを得ない。
メイト手順 - その1
相手のキングをルークで、自分のキングの反対側に閉じ込める。 (ルークの攻撃ラインを相手のキングの側面にくっつける感じ。)
メイト手順 - その2
自分のキングを近づけ、相手のキングの「L字型」の位置に置き、その位置をキープする。 (この時、相手のキングがルークの攻撃ラインから離れたら、ルークを1歩移動して攻撃ラインを再びくっつける。)
メイト手順 - その3
もし、相手のキングが自分の正面にやってきたら、ルークで真横から攻撃し、相手のキングを 1歩端に追い込む。 (「L字型」をキープしていれば、必ずそのチャンスが来る。)
メイト手順 - その4
『メイト手順 - その2』に戻る。
以上を繰り返していけば、やがて相手のキングは端に追い詰められ、「ルークエンディングの目標」を達成することができます。
クイーン
「クイーン」は万能な駒なので使い方は様々ですが、以下のような特徴があります。
- 価値があまりにも高すぎるので、「クイーン同士の交換」以外で取られた場合はほぼ負けが確定する。 (普通、すぐに投了します。)
- 序盤にでしゃばると、相手のポーン、ナイト、ビショップに追われて逃げまわる羽目になり、手損する。 (普通、マイナーピースがいくつか戦場に出てから動かします。)
- 相手のクイーンがいる限り、自分の「キング」は安全とは言えない。
- 中盤でも「チェックメイト」を狙いやすい。
- 「クイーンエンディング」は「ルークエンディング」より簡単。
「クイーンの使い方」というのは特にありませんが、あえて言うとクイーンは「ゲームの最大の不安定要素」です。
なので、以下のことを意識するといいと思います。
- マテリアルで優勢になったら、クイーンを交換して「勝ち」を安定させる。
- 劣勢の時はクイーンを温存して「一発逆転」を狙う。
クイーンエンディング
「クイーンエンディング」とは・・・
- 相手の駒が「キング」のみ。
- 自分の駒が「キング」と「クイーン1つ」以上が残っている。
という状況のことです。
「ルークエンディング」と同じ感じで、 自分のクイーンを残して、相手のキング以外の駒を全て取り尽くすことでこの状況を作ることができます。
「クイーンエンディング」も、何も考えずに「作業的」に駒を動かすことで相手をチェックメイトすることができます。
しかも、ルークエンディングより簡単です。
「クイーンエンディング」の最終目標は、「ルークエンディング」と同じようなチェックメイトの他に、将棋で言う「頭金」によるチェックメイトも可能です。
メイト手順 - その1
クイーンを相手のキングの「L字型」の位置に置く。
メイト手順 - その2
ひたすら相手のキングの動きを真似てクイーンを動かします。
(不思議に思われるかもしれませんが、実はこれだけで相手のキングをボードの端に追い詰めることができます。)
(注意!!) : 「ステールメイト」に気をつけてください。 もし相手のキングがチェス盤の隅っこに行った時、相手は「ステールメイト」を狙っています。
メイト手順 - その3
相手のキングが端にたどり着いたら、キングを相手のキングに近づけていきます。
クイーンは放っておいて構いません。 なぜならキングは自ら相手のクイーンの隣に行くことができないからです。 クイーンを動かさなければ取られる心配はありません。
メイト手順 - その4
キング同士がほぼ向かい合ったら、「頭クイーン」でチェックメイトです。
キング
「キング」は他の駒と違い、序盤・中盤では「弱点」です。
なので、序盤に戦う準備ができたら、キングを「キャスリング」して、チェス盤の隅っこに移動させましょう。
(戦う準備ができる前にやると、「キャスリングしたキング」を標的にした陣形を組まれやすくなります。)
「キャスリング」は 2方向にできますが、「相手のクイーン」が「正面」に来そうにない方にキャスリングをすると、比較的安全です。
(クイーンの「斜めライン攻撃」はそれほど脅威ではないので、「正面」に来ないかどうかを注意するといいです。)
終盤のキング
終盤では「キング」は戦闘に参加します。
基本的に「センター」に向かって移動すればキングを活躍させることができます。 なぜなら、ボード全体に最短距離で向かえるからです。
終盤で「ポーンの昇格競争」が戦いの焦点となることがあります。
その時、キングでいかにポーンの道を確保するかが鍵となります。
最終的にポーンの道を 8段目までキングで守ることができれば「昇格確定」で勝ちです。
で、実は上記の状態は 6段目で「オポジション」という「キング同士が向かい合った形」にすると確定します。
「オポジション」の状態から
- もし相手のキングが「右」へ動いたら、自分のキングを「左前」へ動かす。
- もし相手のキングが「左」へ動いたら、自分のキングを「右前」へ動かす。
そうすると「ポーンの道」を確保することができます。
もし「この先、ポーンの昇格競争になるかも・・・」と感じたら、相手より早くキングを「センター」へ向かわせるようにするといいです。
まとめ
「メジャーピース」は「勝負を決める駒」です。
「マイナーピース」によるチェックメイトはとても難しいので、メジャーピースを温存しておくか、「ポーンの昇格」を狙うかで勝ちを目指すといいと思います。