『いちゃLove❤チェス漫才!!』とは、様々なチェスの対戦棋譜を自作チェスエンジン「Sayuri」と一緒に漫才形式で解説する記事です。
チェスエンジンを擬人化したキモい記事ですが、生温か〜い目でご覧ください。
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ゲーム
今回は先日終了した「ワールド・チェス・チャンピオンシップ 2018」のタイブレーク、第 13 ラウンドのゲームを紹介します。
解説 & 漫才
僕
「祝! マグヌス・カールセンさんのチャンピオン防衛!
ってことで、今回と次回は「ワールド・チェス・チャンピオンシップ 2018 スペシャル」だよ!」
Sayuri
「「祝!」どすか。
これは挑戦者ファビアノ・カルアナさんのファンに袋叩きにされるどすな。」
Stockfish先生
「アメリカのチェスファンはみんなカルアナさんを応援していたのじゃ。
お主は超大国アメリカを敵に回したのじゃ。」
僕
「もーーーー! チャンピオンを祝った方がツカミが映えるからそう書いたの!
じゃあ「残念・・・カルアナさん・・・チャンピオン・・・ならず・・・・・・(涙)」って書いた方が良かったのか?」
Sayuri
「それはそれでカルアナさんファンに袋叩きにされるどす。」
Stockfish先生
「超大国アメリカが敵に回るのじゃ。」
僕
「もーええわっ!
で、今回の大会のレギュレーションは・・・
- 12ラウンドのマッチで、持ち時間は 100分 1手 50秒加算、40手ごとに 15分加算。
- 引き分けなら、4ラウンドのラピッドのマッチで、25分 1手 10秒加算。
- さらに引き分けなら「白 4分、黒 3分、1手 3秒加算のアルマゲドン」のサドンデス。
・・・ってな感じ。」
Sayuri
「「アルマゲドン」って何どす?」
Stockfish先生
「エアロスミスの「ミス・ア・シング」を歌いながら「ミス」しないようにチェスを指すのじゃ。」
Sayuri
「なるほど、よく分かったどす。」
僕
「分かるなよ! ・・・って、僕も初耳だったんだけどね。 (テヘペロ)
「アルマゲドン」ってのは・・・
- 「ブリッツ」。
- 白の持ち時間は、黒の持ち時間プラス 1分。
- 「引き分け」なら「黒の勝ち」。
・・・ってゆールールのことだ。
今回は白の持ち時間が 4分で、黒の持ち時間が 3分で、1手 3秒加算って感じ。
しかも「サドンデス」だから、引き分けのないアルマゲドンでは 1ゲームで終了ってことになる。」
Sayuri
「「アルマゲドン」で「サドンデス」・・・「最終戦争で突然死」どすか。
中二病に流行りそうなルールどすな。」
僕
「中二病なら「ラグナロク」って名前じゃないとダメじゃないか?
「アルマゲドン」の「マゲドン」の部分が中二病にウケなさそうだ。」
Sayuri
「新キャラ「まげどん」の話はもういいどす。
チェスの話に戻すどす。」
僕
「新キャラにするつもりはないんだけど・・・・・・まぁいいや。
で、今回は最初の 12ラウンドのマッチは全ゲーム引き分けだった。
で、ラピッドのタイブレークに入ったんだ。
今回紹介するゲームはそのタイブレークの第1ゲームだ。」
Stockfish先生
「では解説じゃ。
「Ply 4 : Nf6」で English じゃ。」
僕
「カールセンさん、今回のマッチでこれを含めて 3回も English をやってんだよなぁ。
Chessgames.com のカールセンさんの白での初手のデータを見てみると・・・
指し手 | 勝ち | 引き分け | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
1位 e4 | 52.2% | 32.7% | 15.1% | 68.6% |
2位 d4 | 52.9% | 32.8% | 14.3% | 69.3% |
3位 Nf3 | 49.7% | 34.2% | 17.8% | 66.8% |
4位 c4 | 40.6% | 41.7% | 17.7% | 61.5% |
・・・ってな感じで、English が得意とは言えない数字なんだよ。
なのにどうしてこんな大切な戦いで English を・・・・・・」
Sayuri
「ちちちち、ちょっと待つどす! 明らかにパーセンテージが異常どす!
勝率が全部 60% を超えているどす!」
僕
「あぁ、これはあくまで「Chessgames.com に記録されているゲーム」における勝率なんだ。
カールセンさんの FIDE の公式のデータは・・・
手番 | 勝ち | 引き分け | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
白番 | 304 (49.6%) | 242 (39.5%) | 67 (10.9%) | 69.3% |
黒番 | 197 (32.7%) | 338 (56.1%) | 67 (11.1%) | 60.8% |
・・・ってな感じだ。」
Sayuri
「ピーポーピーポー! 異常事態発生どす!
文字通り「勝ち」と「負け」の桁が違うどす!
白番なんて勝率がほぼ 70% どす!」
僕
「うん。
基本的にチェスはプレイヤーの勝率が 50% 前後になるのが普通だ。
50% を大きく超えるプレイヤーは「格下とばかり戦うチキン野郎」だ。
ところが、「世界トッププレイヤー」となると「地球人のほぼ全員が格下」ってことになる。
だからどうしても 50% を大きく超えてしまうんだ。」
Sayuri
「リアル「ワンパンマン」どすな。」
僕
「ちなみにカールセンさんの「対カルアナさん」のデータは・・・
手番 | 勝ち | 引き分け | 負け | 勝率 |
---|---|---|---|---|
白番 | 13 (38.2%) | 17 (50.0%) | 4 (11.8%) | 63.2% |
黒番 | 9 (29.0%) | 16 (51.6%) | 6 (19.4%) | 54.8% |
・・・ってな感じ。」
Sayuri
「「ワールド・チェス・チャンピオンシップ 2018」の意味が薄れてしまうデータどすな。」
僕
「そうだな。 すまん。 見なかったことにしてくれ。」
Stockfish先生
「解説再開じゃ。
「Ply 23 : Na4」と、白はナイトを端に移動したのじゃ。」
僕
「白ナイトは c3 にいても何もできない。 c6 の黒ポーンが d5 と b5 を守っているからね。」
僕
「で、どこが一番活躍できるかと言うと、現状では c5 だ。
なぜかと言うと・・・
- 白ナイトを追い払う黒ポーンがいない。
- 白ナイトを攻撃できる「黒マス黒ビショップ」がいない。
- 6段目、7段目にある黒陣にも利いていて、黒クイーンや黒ルークが動きにくくなる。
・・・だからだ。
なので、そこに移動できるように白ナイトを a4 に移動したって寸法。」
僕
「でも、そこに居座り続けるのは現状では無理。 黒ナイトが白ナイトを取りにいけるからね。
それでも c5 はこの配置での最も不安定な最重要マスだ。」
Stockfish先生
「「Ply 38 : Nb5」と、黒はナイトを b5 に移動して白ルークを避けたのじゃが・・・・・・ミスじゃ。」
僕
「ここは黒ナイトを b7 に置いて c5 の位置を守らないといけない。
なぜなら、d7 の黒ナイトは c5 を守れていないから。」
Sayuri
「確かに d7 の黒ナイトはピンされているどすな。
黒ナイトが動いた瞬間、「Rxd8#」でチェックメイトどす。」
Stockfish先生
「「Ply 42 : fxe6」で、黒のポーンの形がヤバいことになっているのじゃ。」
僕
「一瞬だけの話だけど、「a ファイル」と「c ファイル」と「e ファイル」が孤立ポーン。
そのうち「c ファイル」と「e ファイル」は、孤立ダブルポーン。
ただし 「c ファイル」のポーンはパスポーン。」
僕
「でも、一番ヤバイのは d7 の黒ナイトのピンだ。
d7 の黒ナイトと d8 の黒ルークが全く動けなくなっている。」
僕
「でもこの後、黒キングが黒ナイトと黒ルークを助けに行くんだけどね。」
Stockfish先生
「「Ply 54 : Kxd7」で、両者の駒の交換が一段落じゃ。」
僕
「ただ、ポーンの形が白が圧倒的にいい。
白も黒も一つずつパスポーンがあるけど、白のパスポーンは「プロテクテッドパスポーン 」だ。
前進は遅いけど取られない。」
Stockfish先生
「「Ply 83 : Ra5」と、白は黒のパスポーンの後ろに白ルークを置いたのじゃ。」
僕
「これで黒はもうパスポーンを昇格させることができない。
なぜなら、パスポーンを昇格させるには、一度黒ルークを黒ポーンの前から外さなければいけないからだ。
外すとその瞬間白ルークが黒ポーンを取っちゃえるんだ。」
Stockfish先生
「「Ply 109 : Kh5」で、黒は投了じゃ。」
僕
「白はパスポーンが 2つ。 黒はポーンなし。 普通に見て勝ち目がない。
その上、白の持ち時間は 1分 6秒、対して黒は 0分 36秒。 やはり黒に勝ち目はない。
で、投了って感じだね。」
Sayuri
「なんというか、素人目に見てカールセンさんの圧勝のような気がするどすが・・・・・・。」
僕
「うん、僕もそう思う。
さっきのカールセンさんの FIDE の公式のデータを見ても、カールセンさんは「持ち時間が少なければ少ないほど勝率が高い」って人みたい。
「ワールド・チェス・チャンピオンシップ 2018」のタイブレークはラピッドなのでカールセンさんの得意分野だ。
もうこの結果は仕方ないと思う。」
Sayuri
「カールセンさんを倒せる人間がこの世界に現れる気がしないどす・・・・・・。」
僕
「いや、もしかすると「暗号化された世界」のどこかにそんな人間がいるかもしれない。」
Sayuri
「相変わらずマイブームをネタにするの大好きどすな。」
僕
「大好き❤
今ね「XMPP」っていうインスタントメッセージングプロトコルの勉強をしているんだけど、その「Omemo」っていう暗号通信プロトコルを調べているうちに「暗号」の世界の哲学的な奥深さにハマっちゃったんだ。」
Sayuri
「ぼっちにインスタントメッセージングなんて無意味どす。」
僕
「まぁ、それは否定しない。
でも Java の「Smack」ってライブラリを使って自分のスマホで「自作ボット」と会話するのが結構楽しいんだよ。」
Sayuri
「か、悲しすぎるどす・・・・・・。
うちといい、ボットといい、あんさんの友達はプログラムしかいないどす・・・・・・。」
僕
「ホントだ・・・なんか泣きそう・・・・・・。
それはともかく、「暗号」を上手く使うとネット上にいかなる権力も支配できない「暗号国家」なるものが作れるらしいんだ。
そこでは善人だろうが悪人だろうが全市民が完全に匿名化され、全く個人が特定されることなく自由に経済活動が行える暗黒の世界なんだ。
善意も悪意も全てが実現できる「混沌の理想郷」が作れるんだってさ。」
Sayuri
「SF系の中二病が歓喜するような内容どすな。」
僕
「それがな、意外と現実的でね、要は・・・
- 匿名化された暗号通信経路
- 仮想通貨
- ブロックチェーンによる契約管理システム
・・・みたいなのだけで作れるらしい。」
Sayuri
「全部すでにあるどすな。」
僕
「何ていうか今まで僕は、情報技術の発展ってのは、個人情報を電子化し、ディストピアみたいに全人類を規格化してしまう社会しか作れないって思ってたんだ。
でも、それとは真逆の、法も秩序もない完全なる混沌の社会なんてものも作れるって知って驚いた。」
Sayuri
「両極端どすな。」
僕
「つまりこれは、将来地球は二分されるってことだ。」
Sayuri
「意味の分からないことを言い出したどす。」
僕
「近い将来、全人類を規格化しようとする統制勢力「ネオ・マトリクス」と、あらゆる法と秩序を破壊する混沌勢力「クリプト・バンディット」による第三次世界大戦が勃発するんだよ。」
Sayuri
「始まったどす・・・・・・。」
僕
「そして僕は「クリプト・バンディット」に所属するスラム街の住人なんだ。
で、ある日僕は路地裏で悪党に絡まれている美少女を見つけ、助けるんだよ。」
Sayuri
「いや、あんさんは悪党を見かけたらすぐ逃げるタイプどす。」
僕
「実はその美少女の正体は「ネオ・マトリクス」の総統の娘なんだ。
で、僕はその美少女に恋してしまうんだ。」
Sayuri
「ロリコンの変態中年オヤジどす。」
僕
「しかし美少女は、「助けていただいたことは感謝します。 しかし私にはやるべき使命があるのです。 あなたを相手にしている暇はありません。」と言って去ってしまう。」
Sayuri
「実に懸命な判断どす。」
僕
「で、なんやかんやあって、僕は「救世主」として覚醒する。」
Sayuri
「中略が酷いどす。」
僕
「僕は再会した美少女と手を取り合い、愛の力で新能力「ワールド・ノヴァ」を発動させるんだ。」
Sayuri
「壮大なセクハラどすな。」
僕
「そして「ワールド・ノヴァ」の力で、ネオ・マトリクスの「秩序の力」とクリプト・バンディットの「混沌の力」が融合し、「普通の力」が生まれる。」
Sayuri
「「普通」・・・どすか・・・・・・。」
僕
「「普通の力」は「普通の社会」を生み出し、人々は「普通の生活」をするようになるんだ。
めでたしめでたし。」
Sayuri
「なんというか、「甘いもの」と「辛いもの」を混ぜたら「味がなくなった」みたいな話どすな。」
僕
「そしてエピローグ。」
Sayuri
「まだあるどすか。」
僕
「僕は美少女と「あ〜んなこと❤」や「こ〜んなこと❤」をして幸せになりましたとさ。」
Sayuri
「あんさんは「ネオ・マトリクス」に捕まって「クリプト・バンディット」に拷問されるといいどす。」
Stockfish先生
「ワシは第3勢力「セクシー・アイランド」に住んでみたいのじゃ。」
一同
「ははははは!」
ナレーション
マッチの勝敗を見ていると、リアルのチェスって持ち時間が 30分くらいの方がいいんじゃないか? と思ってしまいつつも、今日も和やかに人工知能達の宴が終わるのであった・・・・・・次回、乞うご期待!!