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「チェスのルールでアフタースクール❤」
チェスの入門者のための、漫才風「チェスのルール解説」ラブコメディ!

人物紹介

百合園・九音 (ユリゾノ・クイン)

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  • 名前は「百合園九院 (ユリゾノ・クイン)」
  • 高校2年生。 帰宅部。
  • 超プライドが高くて友達ゼロ。
  • チェスが大好き。 かなり強い。
  • 夢は日本史上初のグランドマスター。
  • 勉強は平均よりちょい下。 運動神経、皆無。
  • ナイトとは小学校入学時からの家族ぐるみの付き合い。

柚木・菜偉人 (ユズキ・ナイト)

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  • 名前は「柚木菜偉人 (ユズキ・ナイト)」
  • 高校2年生。 サッカー部。
  • 超気さくで人気者。 女子からもモテモテ。
  • 成績は学年トップでサッカー部のキャプテン。
  • クインが大好きで、将来の夢はクインのお婿さん。
  • 元々病弱少年だったが、クインの強さに憧れて強くなっていった。
  • クインとは小学校入学時からの家族ぐるみの付き合い。

第11話 ステールメイトでアフタースクール❤

ナレーション
今回は「ステールメイト」について説明するみたいだね。
文化祭でクインの弱点がバレちゃったみたいだけど・・・・・・はてさて、どうなることやら。

ナイト
「だいぶ日が暮れてきたね。」

クイン
「そういえばそうだね。」

ナイト
「暗い学校って、ちょっと怖いよね?
ふふっ! (笑) 確かクーちゃん、お化けすごく苦手だったよね?」

クイン
「・・・・・・怖くないよ。」

ナイト
「ん? そこは・・・・・・」

ナイト
「は、はぁ!? お、お化けなんて、こ、怖いわけ、な、ないじゃん!」

ナイト
「・・・って強がるところじゃないの?」

クイン
「私は怖くない。 お化けも幻も全然怖くない。 だから・・・・・・」

ナイト
「だから?」

クイン
「何でもない・・・・・・。」

ナイト
「ふーん、意外だなぁ・・・・・・。
クーちゃん、1年の頃の文化祭の時、僕のクラスのお化け屋敷に来て、とんでもないことになってたから、お化けが苦手なのかと思ってた。」

クイン
「はっ!」

クイン
「な、何のことかさっぱり分からないなっ!」

ナイト
「僕はちゃんと覚えているよ!
僕のクラスは美術が得意な人がいなかったから、幼稚園児の図工レベルのお化けしか作れなかったんだ。
僕らは本気でお客さんを怖がらせようとしてたのに、みんな大爆笑して帰っていった。
そんな時、クーちゃんが来たんだ。」

ナイト
「僕らは「どうせ誰も怖がらないし・・・」って半分諦めて、テキトーにお化けを演じてみたんだけど、そしたらクーちゃんは・・・・・・」

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ナイト
「・・・って感じで大絶叫!
号泣しながら「ごめんなさい! ごめんなさい! もうお母さんの口紅でお化粧ごっこしません! 参考書代で BL 漫画を買いません! だから許してぇええええ!」って腰を抜かして座り込んでしまって、教室の周りにいた人や先生たちも駆けつけてきて大騒ぎ!
おかげで僕のクラスの出し物はうちの高校史上最凶のお化け屋敷として伝説になったんだよ!
クラスのみんなも大喜びだったよ!」

クイン
「そ、それが狙いじゃん!
あんた達のお化け屋敷があまりにも情けなかったから、私がビビってるフリをして元気づけてあげたんだよ!」

ナイト
「ありがとう! クーちゃん!
あの時の涙と鼻水とヨダレをたらして泣き叫ぶ姿、とても可愛かったよ!」

クイン
「な、何その褒め方! 全然嬉しくない!
そういうニッチな性癖を持つ男子に絶対チェスを教えない!」

ナイト
「く〜ん❤ 教えてよ〜〜〜❤」

クイン
「ぐはぁ! 教えます! 教えますとも!」

ナイト
「やった!」

クイン
「ということで、今度は「ステールメイト」について説明するよ。」

ナイト
「「メイト」?
「チェックメイト」とは違うの?」

クイン
「違うよ。 「ゲームの終わり」って意味では同じだけど。
「ステールメイト」ってのは、相手のキングをチェックせずに、次の相手の手番で指し手がなくたった状態のことだよ。」

ナイト
「「チェックメイト」の「チェックをしなかった」バージョン?」

クイン
「そう。 こんな感じでね。」

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クイン
「で、この時ゲームの結果は「引き分け」になるんだ。」

ナイト
「ええっ! 今の図、どう見ても白の圧勝じゃん!
引き分けになっちゃうの!?」

クイン
「そう! そしてそこがチェスの面白いところなんだよ!」

ナイト
「どういうこと?」

クイン
「最後の最後まで負けた方にもワンチャンあるってこと!
持ち時間の短い「ラピッド (10分から 15分)」「ブリッツ (3分から 5分)」「バレット (1分以下)」なら最後の最後まで諦めず、チェックメイトされないように逃げ回れば、相手がミスしてステールメイトになっちゃう可能性があるんだよ。」

クイン
「もっと言うと、持ち時間の短いゲームでは、勝ってる方は「ステイルメイト」にならないように考えながら指すから、勝ってる方が時間切れで逆転負けなんてこともあるよ。」

ナイト
「うわぁ・・・そんな逆転で負けちゃったら、メチャクチャ悔しいだろうなぁ・・・・・・。」

クイン
「うん♪ オンラインチェスならハラワタ煮えくり返ってキーボードとマウスをモニターにぶつけて数万円の損害が出るレベルだよ♪」

ナイト
「あぁ・・・クーちゃんの笑顔に狂気を感じる・・・・・・。」

クイン
「とりあえず、よくあるステールメイトのパターンを紹介するよ。
1つ目は「あーん! あとちょっとで昇格できたのにー!」だよ。」

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ナイト
「うわぁ・・・これは悔しい・・・・・・。」

クイン
「実はこれ、黒キングが白ポーンの前に逃げ込んだ時点で引き分けなんだね。」

ナイト
「そうなの?」

クイン
「うん。 だって次に白キングが他に動ける場所はこんな感じだから。」

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ナイト
「ああっ! どこに動いても白ポーンが取られちゃう!
駒が足りずに引き分けだ!」

クイン
「そういうこと。
で、2つ目は「ポーンの昇格」の時に説明した「あーん! せっかくクイーンになれたのにー!」だよ。」

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ナイト
「僕、これ、絶対やっちゃいそう・・・・・・。」

クイン
「これもその時に説明したけど、「クイーン」じゃなく「ルーク」に昇格すれば白の勝ちだね。」

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ナイト
「よし! 覚えたぞ!」

クイン
「3つ目は、私が最近オンラインチェスでやった「あーん! 余裕ぶっこいてたら引き分けちゃったー!」だよ。」

ナイト
「ぶっこいてたんだ・・・余裕・・・・・・。」

クイン
「先ずこういう局面があって・・・・・・」

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クイン
「黒キングが前に進んだんだよ。」

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ナイト
「ふむふむ。」

クイン
「で、私の持ち時間は後 10秒くらいしかなかったんだ。
でも「まっ、どうせ相手は悪あがきするしかないな」とか勘違いして白キングを近づけたんだ。」

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クイン
「そしたら相手は少し時間をかけて考えた。
そこで私はオンラインチェスの機能の一つ「相手の手番の時に次の手を予約しておけば自分の手番でノータイムで指せちゃうよね♪」を使ってノータイムで白キングを近づけたんだ。
するとこうなった。」

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クイン
「私はこの時、生まれて初めて「ブーーーー!」って口でオナラの音を再現したよ。」

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ナイト
「そんな漫画みたいなことって本当にやるんだね・・・・・・。」

ナイト
「でも、そっか、黒キングは白クイーンのせいで外に出られず、黒ポーンは前にしか進めない・・・だから「ステールメイト」か。
ならどうしたら正解なんだろう・・・・・・。」

クイン
「ここは思い切って白クイーンで黒ポーンを取って捨てて、遠くにある白ポーンをクイーンに昇格させれば安全に勝てるよ。」

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ナイト
「なるほど。
勝てそうでも最後まで油断できないんだね。」

クイン
「最後に「ステールメイト」から得られる恋愛の教訓を一つ。」

ナイト
「あっ、間に合ってます。 結構です。 聞きたくないです。」

クイン
「「恋はチェックメイトよりステールメイト」だね。」

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クイン
「ぶふぉあっ!」

ナイト
「(僕、そろそろ「ストーカー対策相談室」に行った方がいいかも。)」

クイン
「「ステールメイト」って奥が深いでしょ。」

ナイト
「うん! すごく勉強になったよ!」

ナレーション
文化祭は青春の恒例行事だね。
次回は「50手ルール」について説明するみたいだけど・・・・・・はてさて、どうなることやら。

(つづく : 第12話 50手ルールでアフタースクール❤)

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