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「チェスのルールでアフタースクール❤」
チェスの入門者のための、漫才風「チェスのルール解説」ラブコメディ!

人物紹介

百合園・九音 (ユリゾノ・クイン)

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  • 名前は「百合園九院 (ユリゾノ・クイン)」
  • 高校2年生。 帰宅部。
  • 超プライドが高くて友達ゼロ。
  • チェスが大好き。 かなり強い。
  • 夢は日本史上初のグランドマスター。
  • 勉強は平均よりちょい下。 運動神経、皆無。
  • ナイトとは小学校入学時からの家族ぐるみの付き合い。

柚木・菜偉人 (ユズキ・ナイト)

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  • 名前は「柚木菜偉人 (ユズキ・ナイト)」
  • 高校2年生。 サッカー部。
  • 超気さくで人気者。 女子からもモテモテ。
  • 成績は学年トップでサッカー部のキャプテン。
  • クインが大好きで、将来の夢はクインのお婿さん。
  • 元々病弱少年だったが、クインの強さに憧れて強くなっていった。
  • クインとは小学校入学時からの家族ぐるみの付き合い。

第10話 駒が足りずにアフタースクール❤

ナレーション
今回は「駒が足りない」について説明するみたいだね。
今、ナイトはクインにチェスグッズのカタログを見せてもらっているみたいだけど・・・・・・はてさて、どうなることやら。

ナイト
「へー、木製のチェスの黒の駒って、色んな色があるんだなぁ。」

クイン
「基本的に、白の駒用の薄い色の木は「ツゲ (Boxwood)」で黒の駒用の濃い色の木は「ローズウッド (Rosewood)」だね。
ローズウッドは普通の茶色のローズウッドの他に、黄色っぽい「ゴールデン・ローズウッド (Golden Rosewood)」や、赤っぽい「ブラッド・ローズウッド (Blood Rosewood)」なんてのもあるよ。
この真っ黒のやつは白の駒用のツゲを黒塗り (Ebonized) したものだけどね。」

ナイト
「でも、僕にとってこの「チョコレート」みたいな普通のローズウッドが、むしろブラッド・ローズウッドだよ・・・・・・。」

クイン
「あぁ・・・去年のバレンタインデーのアレだね。
大量に貰ったチョコレートを律儀に全部食べて、昭和のスプラッター映画顔負けの鼻血を吹き出し、私を血まみれにしたやつ。」

ナイト
「うん・・・・・・。」

クイン
「ってゆーか、食べきれないチョコレート貰ったからって、女子の私に手伝ってもらうとか、あんたホント、デリカシーないよね!」

ナイト
「だって、くれるものは断れないし、食べ物だから捨てられないし、友達に手伝ってもらおうとしたらキレられたし・・・・・・クーちゃんにしか頼めないじゃん・・・・・・。」

クイン
「はぁ・・・他の女子の愛のこもった大量の本命チョコを目の前にした私の気持ち、ちょっとは考えてよ・・・・・・。」

ナイト
「えっ!? もしかしてクーちゃん、僕にヤキモチ焼いてくれてるの? やったー!」

クイン
「そそそそ、そんなわけ、なななな、ないじゃん!
わわわわ、私はただ、カカカカ、カロリーがちょっと、きききき、気になった、だだだだ、だけじゃん!」

ナイト
「大丈夫だよ!
僕はクーちゃんがどんなにブクブクに太っても、大好きだよ❤」

クイン
「あんたみたいな激甘男子がいるから世の中の 32 パーセントの女子が「幸せ太り」してしまうんだよ!
体重計に乗る恐怖を経験したことのない健康優良児に絶対チェスを教えない!」

ナイト
「く〜ん❤ 教えてよ〜〜〜❤」

クイン
「ぐはぁ! 教えます! 教えますとも!」

ナイト
「やった!」

クイン
「今度は「両者が相手をチェックメイトするだけの駒がない時」について説明するよ。」

ナイト
「ん? どういうこと?」

クイン
「チェスは将棋のような「持ち駒」のルールがないから、お互い駒を取り合うとドンドン盤上から駒がなくなっていく。
だから、お互い相手をチェックメイトできるだけの戦力がなくなっちゃうことがよくあるんだ。」

ナイト
「言われてみれば確かにそうだ。」

クイン
「で、「お互いの戦力がこんな感じだと相手をチェックメイトできないよー」ってのを説明するよ。
先ず一つ目は、「キング vs キング」の場合。」

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ナイト
「そういえばそうだね。
キングは相手のキングを攻撃できないんだから当然だね。」

クイン
「次は、「キング + ナイト vs キング」の場合。」

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ナイト
「へぇー、確かにどんなに配置を変えてもチェックメイト状態にならないね。」

クイン
「次は、「キング + 同じ色のマスのビショップ達 vs キング」の場合。」

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ナイト
「あれ? クーちゃん、「ビショップの動き」の説明をした時、2つのビショップで相手をチェックメイトする例を出してなかった?」

クイン
「それは「違う色のマスのビショップ同士」の時だね。」

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クイン
「2つ以上のビショップが違う色のマスにいるならチェックメイトできるんだ。
でも同じ色のマスにしかいないなら、どう頑張ってもチェックメイトできないよ。」

ナイト
「なるほど!」

クイン
「で、最後は「両者の全てのビショップが同じ色のマスにいる時の、キング + ビショップ達 vs キング + ビショップ達」だよ。」

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ナイト
「ふーん。
じゃあ相手のビショップが自分と違う色のマスにいたらどうなるの?」

クイン
「その時はこんな感じでチェックメイトできる。」

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ナイト
「おっ! ホントだ!」

ナイト
「で、駒が足りなくなったらどうなるの?」

クイン
お互いチェックメイトできる戦力がなくなったら引き分けになるよ。」

ナイト
「それは仕方ないね。」

クイン
「まぁ、ルール上はこれだけなんだけど、ナイトやビショップのようなマイナーピースだけでチェックメイトするのは難しいんだ。
さっき例に出した「キング + 違う色のマスのビショップ達 vs キング」の場合はまだ簡単だけど、「キング + 2つのナイト vs キング」とかなると、相手にチェックメイトになるように協力してもらわないと無理だと思う。」

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クイン
「「キング + ビショップ vs キング + 相手と違う色のマスのビショップ」も、そう。
お互いのキングが真ん中付近で、相手のビショップにチェックされないマスに居座っちゃえばゲームが終わらない。」

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クイン
「こういう場合はもう引き分けを申請しちゃうしかないよね。」

ナイト
「でも相手がその申請を断ったら?」

クイン
「んだとぉ! てめぇ!」

ナイト
「ど、どうしたの!? なんで突然ブチギレたの!?」

クイン
「いるんだよ! オンラインチェスにはそういうやつがウジャウジャと!
こっちが「あぁ、もうこれは引き分け確実だな・・・」って思って引き分け申請したら、「looooooserrrrrr! (負け犬ぅうううう!)」とかチャットしてきて粘ってくるやつ!」

ナイト
「そ、そうなの・・・・・・?」

クイン
「で、結局そいつらとは引き分けるんだけど、それの何が腹立つかって言ったらね、「この局面が引き分けに見えないレベルの人間と引き分けた」っていう事実が一番ムカつくんだよ!」

ナイト
「いろいろ大変だねぇ・・・・・・。」

クイン
「とまぁ、それはさておき・・・将棋ファンは駒が少なくなって引き分けになるチェスを「不完全なゲームだ」なんてよく言ってるけど、引き分けは決して悪いことじゃないんだよ。」

ナイト
「何かいいことあるの?」

クイン
「「引き分け」ってのは「少年漫画」で男同士の友情を深めるために必要不可欠なもの。
つまり・・・・・・」

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クイン
「ぶふぉあっ!」

ナイト
「(クーちゃんが妄想したのは絶対「少年漫画」じゃないな・・・・・・。)」

クイン
「ね? 「引き分け」ってなかなかいいでしょ?」

ナイト
「うん! 僕も引き分けてみたいな!」

クイン
「でしょ!」

ナレーション
モテモテ男子もバレンタインデーの悩みはあるんだね。
次回は「ステールメイト」について説明するみたいだけど・・・・・・はてさて、どうなることやら。

(つづく : 第11話 ステールメイトでアフタースクール❤)

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