「トレーニングぅ〜? ちょーしんどそうなんですけどぉ〜」という方のために、実は「トレーニングはコツが分かればメチャクチャ楽!」ってのをご紹介します。
コツは「薄く」「繰り返す」
技術や知識を「完全マスター」するコツは・・・
- 一日で完全マスターしようとしてはいけない。 (薄く)
- のんびりと何日もかけて繰り返して覚えようとする。 (繰り返す)
・・・です。
人間は技術や知識を短時間でマスターすることは不可能なはずです。
なぜなら、もしそれが可能なら「誤った技術・知識」を学んでしまった時、「誤った技術・知識」を完全マスターしてしまうからです。
人工知能に「オンライン学習」という機械学習があります。
一つの「訓練サンプル (入力と出力の実例データ)」を得る度に「ウェイト (判別に必要な係数)」を修正して、そのサンプルを捨てる学習方法です。
「ディープラーニング」や「パッシブアグレッシブ」などがそれです。
「オンライン学習」は「頻度主義」という方針で機械学習が行われます。
これは明らかにおかしな内容の「訓練サンプル」があったとしても、それが少数派なら「ウェイト」にあまり影響を与えないというものです。
こういう外からの影響を小さくする性質を「ロバスト性」と言います。
こういった学習には大量の「訓練サンプル」が必要なのですが、その分「誤った技術・知識」の影響を最小限に抑える効果があります。
人間の学習機能も人工知能に似たものだとすれば、人間の脳にも「ロバスト性」があり、「短時間で完全マスターできないように設計されている」と考えることができます。
もしそうだとしたら、「今日一日でこれを完全マスターしてやろう!」と力むより、「一日では無理。 何日もかけてのんびりマスターすればいいや」と力を抜いて繰り返しトレーニングした方がストレスを最小限に抑えられると思います。
例えば英単語の学習は・・・
ちょっとチェスから離れて英単語の学習法を例え話に使います。
僕の経験上、最も非効率的な英単語の学習法は、「今日はこの単語、明日はこの単語を覚えよう」と、「一日一個の単語を覚える」という学習法です。
これだと、人間の脳の「ロバスト性」がその日に覚える単語を定着させないようにするので、結局ほとんどの単語が覚えられません。
それよりも単語を 20個くらいまとめて、「一日一回単語と意味を確認する」を数日間繰り返した方が、効率的に早く覚えられます。
僕はいつも英単語をこんな感じで覚えています。
テーマを決めて「薄く」「繰り返し」トレーニング
チェスのオンライン対戦などで自分の課題をいくつか見つけて、それらをテーマに繰り返しトレーニングして弱点を克服していくと強くなります。
とても効果的なトレーニング方法は「自分 vs もう一人の自分」での対戦です。
「自分」は自分で、「もう一人の自分」は対戦相手です。
具体的には・・・
- 「自分」はテーマに従った考え方で指していく。
- 「もう一人の自分」は「自分」が一番困る指し手で抵抗していく。
・・・ってな感じです。
ゲームを最初から最後までやる必要はありません。
テーマが「オープニング」での課題なら「オープニング」だけをプレイすればいいですし、「ミドルゲーム」なら「ミドルゲーム」までやって終わればいいです。
「エンドゲーム」なら「エンドゲーム」の状態に駒を配置して、そこだけやるという方法もあります。
テーマをいくつか決めて数日間繰り返しトレーニングすることで、効率よく確実に弱点を克服できると思います。
最後に
「薄く」「繰り返す」はチェスだけでなく、いろんな学問や技術に応用がきくと思います。
こういったチェスの様々な側面を日常生活にも役立ててみてはいかがでしょうか。